記憶するのではなく、身につけること

言葉を「勉強」と捉えてしまうことがまず言語習得の阻害要因になります。言葉は「知っている」ものではなく、「身に付けるもの」だと考えなおす必要があるでしょう。

読み書き、そして聴いて話す。これが「言葉」を習得している条件です。ただ、私たちはこの世の中に定義されている「漢字」をすべて知っているわけではないのです。漢字が苦手な人であっても、立派に社会生活を営んでいます。むしろ、「手で文字を書く」ということが減った昨今では、そのような「漢字を書くのが苦手」という人の方が多いのではないでしょうか。

英語に置き換えても同じです。この世にあるすべての単語の「スペル」、つまり「綴り」を知っている人などはいないのです。日本語と英語の感覚的な違いはこの点が大きいと思われます。日本語は発話できる最小単位の「かな」があります。それは「ひらがな」と「カタカナ」にわかれ、状況によって使いわけるものです。とりあえず「音」として理解しているものをどうにか書き記すことができるのが日本語です。

それが「英語では出来ない」と考えている人が多いのではないでしょうか。実は英語も同じように「書き記すこと」が可能です。それはスペルが誤っていても、です。発話する「音」と記すもの関係を表したものを「フォニックス」といいます。「日本語の”あかさたな”」に相当する「文字と音」の関係を示したものがフォニックスです。これはそれぞれのアルファベットを「アルファベットの読み方」ではなく「発話するための音としての読み方」として捉えたものです。

このフォニックスを知っていることで、たとえ知らない綴りの単語であっても読むことができます。そして、ある程度は記すことができます。そしてそれを見た人は、綴りが違ったとしても、「こう書きたかったのだろう、綴りの誤りだろう」として理解することができます。日本語でも誤字や脱字はつきものですが、そのレベルで物事を「記す」ことができるのです。

こうなると英語が一気に「知識」ではなくて「身に付けるもの」に発展することが理解していただけるのではないでしょうか。単語の綴りを知っていることは日本語に置き換えると「漢字を知っていること」に等しくなります。漢字を知らなくてもある程度の物事を記すことができます。機械が変換してくれるものです。そのような感覚で英語に触れられたら、「言葉に馴染む」ことで「使う」ことも可能になるのではないでしょうか。

もちろん、フォニックスの基礎を身につける必要はあります。まったく何も覚えずに新しい言葉を習得することはできません。ですが、難しい文法や単語の暗記などを通り越して一気に英語が「使える」存在になるためには、このフォニックスはひとつの「キー」になる存在といえるでしょう。読み書きをバランス良く習得するためにも、このフォニックスを身につけることは必須といえるでしょう。また、途方もなく感じる英語の「勉強」を、一気に「使いながら身につける」という次元に引き上げることもできます。

フォニックスはひとつの「コツ」です。すべての単語を知ることができるようになるわけではなく、そのような法則もあるのだということを知っておくだけでも、英会話習得に対する意識を変えることができるでしょう。

 

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