楽しめなければ英語は身につかない

ひとつの言語を習得することはとても難しいことです。人は生まれてから何年もかけて自然に言葉を習得していくものです。そこには「苦労」などというものはなかったはずなのに、いざ「もうひとつ」と考えるととても困難です。

その理由のひとつは私たちが「成長」してしまったからではあります。成長してしまった私たちは、すでに「言葉」を自然に身につけることができる脳の柔軟さを失っているのです。母国語は脳の「言語野」というところに収まるとされていますが、その言語野は生まれたばかりの子どもであれば柔軟なもので、自然と言葉を吸収していくものです。それは「思考」を司る「母国語」としての言葉を求めているからで、自分の感情や思考を特定の言葉で定義することが「人」としての「理性」の一部だからです。

ただ、ある程度の期間経過してしまった「脳」は、すでにひとつの言葉を習得した状態になっています。それは思考を司る言語が確定したという状態であり、そこに新しい言語を押し込めることはできません。いったん「言葉」、「母国語」が確定してしまった状態の脳にとっては、「自然に」ということはもうあり得ないもので、その先は「勉強」として「学ぶ」しかないことになっているのです。

母国語が定着した後に身につけたい「新しい言葉」は、自然には身につきません。それは「学ぶ」ことでしか身につくものではなく、「学ぶ」ということは受動的なものではなく能動的なものです。自分で「覚えよう」と考えるから、それらを覚えることができるのであって、そうでないのであればいつまでたっても身につくことなどはありません。

就学していた頃は、そのような「学ぶ」ための環境が用意されていたものでした。同級生とテストの結果を競ったり、良い成績をとって両親に褒められたりすることが「当たり前」のことだったのです。それらは私たちにとって「日常」であり、その日常は時間が経過することで「変わってしまう」ということも知っていました。

大人になると今度は自分の時間は自分で定義する必要が生じました。自分が働くために必要なこと、稼ぐために必要なこと、キャリアアップするために必要なことを、自分で見つける必要が生じたのです。成績表はいつの間にか給与明細に変わり、誰が褒めてくれるわけでもなく自分の生活と自分が守るべき家族の生活がそれによって左右されるという厳しい状態に身を置くことになるのです。

そのような中での「英語習得」、「英会話の訓練」なのですから、続けるためのモチベーションをどう確保すればいいのか、何が最善なのかということも考えたいものです。そのひとつの答えが「楽しむこと」です。楽しむことで自然と英会話の訓練を続けたくなるという状態を自分で作ることが大切です。日々のレッスンで出会う人と仲良くなるのもいいですし、「ひとつ段階を進んだら自分にご褒美をあげよう」というものでもいいでしょう。そのようにして自分でモチベーションを維持するためには、まずは「楽しい」という状態を作りあげることが必要です。

英会話習得には時間がかかります。その時間を苦もなく過ごすためには、「楽しい」という気持ちは必ず必要なのです。

 

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