英会話教室は会員制ビジネス

英語をはじめとした「語学」を身につけるためには長い期間が必要です。私たちが「日本語」を習得できていることを考えてみると、私たちは自然と周囲の人たちの話す「言葉」を聞き、それを蓄積し、やがて頭のなかで自分の「言葉」として変換してきたのです。

母国語に関していえば苦労して覚えた記憶は誰も持っておらず、気がつけば話せていたということを誰もが経験してきました。思考回路自体も自然と母国語で形成され、言葉に出すのも、頭のなかで組み立てるのも、いったん覚えた母国語を用いて行うことになるのです。

ですが、いったん習得してしまった母国語とは違う言葉を新たに覚えようとすると、どうしても頭の中で「母国語」に変換しながらその言葉を用いることになります。英語を新たに覚えようとしているからといって、思考回路自体を英語にすることはできないのです。そのため、ある程度成長してからの英語習得は、本当の意味での「言葉」、母国語としての言葉を習得するものではなく、「訓練」としてその言葉の意味を「母国語に置き換えて理解」しながら、身に付けるものになります。だから、英語、英会話習得には時間がかかるのです。

英会話教室には「通う」という言葉を使うことが一般的です。「通う」ということは「一度では済まない」ということです。習得しようとしている事柄が、繰り返し訓練しなければ身につかないものであるため、いったん英会話の学習をはじめたらある程度の期間「通い続ける」ということが大前提になっているのです。

数多く存在する英会話教室は、そのように「通ってもらう」ために適したビジネス形態をとっています。それが「会員制」です。その英会話教室に「入会」し、「会員」として訓練を受けてもらおうということです。それは「続けなければ意味がない」という英会話の難しさを表したものでもあります。ただテキストを買うだけでは身につきませんし、ただCDを聞くだけでも身につきません。英会話を習得するための最短距離は、繰り返し訓練すること以外にないのです。

そして英会話を学ぼうとするひとりひとりのレベルに応じた「レッスン」も必要です。つまり、英会話を学ぶ人の「習熟度」というものを、教える側が知っている必要もあるのです。学ぶ人を「会員」として管理することは、ビジネス的に「囲い込む」ということに対して意味があることであり、加えて「定着を測りやすい」ということもあります。本当に身につけてもらおうとすれば、「いつでも自由に来てください」ということでは済むわけがなく、定期的にコンタクトをとり、どれくらい覚えているのかということを把握しておく必要があるのです。

そのための「会員制」なのです。会員制のビジネスでは、その「会員数」が最も重視されます。ただ「モノ」を買うわけではなく、「入会する」という購買行動になるため、英会話教室では「会員獲得」がまず大切で、さらには会員になってもらっても辞めてしまっては意味がないので、「続けてもらう」ということも大切です。

「会員獲得」と「継続」、この二軸が英会話教室のビジネスの根幹です。「通っても全然身につかない、意味が無い」と感じられてしまったら、会員は減ってしまうでしょう。結局、身につくレッスンが大前提のビジネスなのです。

 

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